私が小さい頃、昭和20年代には周辺には季節季節の野花が咲き乱れていた。
町の私の世代の人たちとの話には、「昔はこんな花どこにもあったよね」と、よく出る。
本当にそうだったんです。春先のサクラソウ・オキナグサ・スミレ・フデリンドウなど
に始まって 初夏から盆の頃にかけてはヤマオダマキ・コオニユリ・カワラナデシコ
・キキョウ・マツムシソウなど、花の名前は正確ではないが次々と思い浮かぶ。
森はコブシ・ヤマザクラで彩られる。
盆が過ぎる頃はススキの穂が風に揺れ、アサマリンドウ (エゾリンドウ?)・ワレモコウなどなど・・
草原や森は子供たちの遊びだったのです。至る所に自然の恵み、初夏のクワ・グミ、
夏休みの頃にはバライチゴ(?)・木イチゴ、中でも草原(原っぱと呼んでいた)にはハシバミ
の実はなによりのおやつだった。表面の緑の薄皮をむき、白っぽいうすい殻を破ると、
真っ白で柔らかな中身が口の中に広がる。カシューナッツのような柔らかな甘みが有った。
本当に懐かしいが今はどこにも見かけなくなった。
秋はまた子供たちへの自然の恵みがいっぱい。くり・アケビ・野ブドウなどを採ることに
夢中になって、学校の帰り道でも、辺りが薄暗くなるまで遊んでいたもの。
私のこの地での原体験は、語りつくせない、忘れられない思い出として体に深くしみ込ん
でいる。どこにそんな場所が有ったのか、今ではすっかり森の中の街になってしまった軽井沢。
観光客の大部分、町の若い世代の皆さんは、この町は昔からこんなだっと思うに違いない。
ゴルフ場となった地蔵が原・早稲田グランド後から離れ山周辺・大賀ホール/矢ケ崎公園
周辺などは多くの子供たちの格好な遊び場であり、春先は一面がサクラソウの自生地でもあ
った。今ではそのどこにも昔の面影は残っていない。
4 参加して今、思っている事、そして子供達に繋ぐ草原
正直少し疲れた。でも心地よい疲れと言ったらよいのか、そして嬉しかった。でも
遠い昔を思うだけでは、あの草原の花たちはもう帰ってこない。 以前からどこかの一角
でもいいから、あの頃の里山が戻って欲しいと思っていた。思っていたが何の行動も
起さない自分がいる。
この度お誘いがあっての草刈り、軽井沢での再草原化への実験プロジェクト。
昔の草原をそのまま復活させるの、今となっては不可能なことでしょうが、
せめてこの地が子供たちが喜んで野花を楽しみ、いつくしみ遊ぶ場所になってくれると
嬉しい。
懸命にこのプロジェクトに取り組んでこられた津田先生をはじめサクラソウ会議の
メンバーの皆様の大変な努力で成果が見え始めたが、町内にはもっと沢山の理解者もい
るのではないか。

この活動をもっと多くの人たちにその意義と楽しさを伝える工夫が必要と思うが、
とりわけ次の世代の小中学生への働きかける価値が有ると思う。彼らの未来のためにも。
自分が出来ることが有れば草刈り作業を含めてこれからも協力して
行きたい。 以上